作物と土壌と微生物: 2008年3月アーカイブ

土づくりをしっかり行った微生物豊富な土壌では、土に張る植物の根から、無数の毛細根が発達し、よりいっそう微生物の餌と棲み処が増し、作物が健全に生育できる様になるからです。
植物の根は、炭水化物、アミノ酸、有機酸などを分泌しており植物の根の周囲に棲む微生物は、それらを求めて集り、互いに助け合うのです。
そうなる事により、微生物の方もアミノ酸や核酸の塩基類を始め多種類のビタミン類を 分泌し、作物の根へ供給しているのです。
このように植物の根と微生物は共存共栄しているのです。
それが土づくりを怠り化学肥料の多用は、もともと火山性の酸性土壌だった日本の田畑 を更に酸性化させているのです。ほとんどの作物は、弱酸性から中性が生育しやすいと言われています。
pHは、5.0~6.5範囲内が適正と言われています。
土が極度に酸性化すると、作物は育ちにくくなり、さらに作物の成長に必要な必須元素の殆んどが金属であるため溶け易くなり流亡してしまいます。その結果、毛細根の発達 を阻害する事になり微生物もその棲み処も貧弱になります。
従って根の貧弱な作物は乾燥や病害虫等にも弱く、花や実もつきが悪く、立ち枯れ青枯れなども併発しやすくなるのです。
よって、殺虫剤、殺菌剤、化学肥料等を多用しなくてはならなくなり、その結果かえって病害虫の天敵までも殺してしまい、より一層病害虫が猛威を振るう事になってしまいます。
こうした悪循環を繰り返さないためにも、作物にとって土づくりが、いかに大切な事であるかが言えます。

《健康に作物が育つ良い土壌とは》

土中有機未分解物・残渣物等の分解と微生物のアンバランスの修正、残留肥効の甦生(ヨミガエル)等の、作物の生育に必要な栄養成分のバランス的供給動態を形成する事にあり、成育阻害要素(無機態窒素による障害・有機酸による障害・窒素飢餓による障害・フェノール性酸等による障害・寄生虫卵等による障害など)である未熟物・未分解物等を微生物の分解や増殖などの土中分解機能で淘汰し、健全な育成土壌の構造「団粒構造」を形成する事であります。

団粒構造とは、土の中にある小さな単位が団子になることです。土の中には岩石鉱物や粘土、腐植や微生物など小さなものがあり、これらが電気的にプラス・マイナスで結ばれたり、菌の出す粘質物質で糊付けされたりして、団子状に寄り合され、こうして一旦出来た団子が更に寄り合って大きな団子になります。水にさらされても壊れにくく、1ミリ~5ミリになった団子を団粒と呼び、この団粒で出来た土を団粒構造化された土と言います。

団粒構造は、微生物や腐植の導入により土中の微生物層の改善・土の団粒構造化が促進され、排水性・保水性・通気性など、肥えた理想的な土壌にする事なのです。従いまして、土づくりの基本は、団粒構造を形成する事、作物の根がしっかりと張り、健全に生育が出来る土壌を作る事につきます。

単粒・細粒構造の土壌を団粒構造の土壌へ作り変える事なのです。

堆肥や緑肥(有機物)を施した土の中には、微生物、昆虫、ミミズ等のたくさんの生き物が棲み、いつも土を耕しています。そして、昆虫やミミズ等の小動物の分泌物、作物の根から排出される分泌物【有害代謝産物】や、微生物からの分泌物、カビの菌糸などが土の粒子を団子状に結びつけて、団粒にするのです。それが土づくりを怠り化学肥料の多用は、もともと火山性の酸性土壌だった日本の田畑 を更に酸性化させているのです。ほとんどの作物は、弱酸性から中性が生育しやすいと言われています。

団粒の構造は、単粒よりも大きく凸凹が多く内部に小さな隙間を多く持って形成されます。

これら大小の団子粒が組み合わさる事により、さまざまな隙間をもった土壌となり毛管水をしっかりと保持【保水性】して土が乾くのを防ぐとともに、余分な水は短時間に排除【排水性】する機能を有します。そして、団粒の隙間を通り土中深くまで空気が届く【通気性】様になります。

単粒土の中の水は、晴天が続くと地表に移動しすぐに乾燥し、パサパサに固まり、逆に多く水を含むと、トロトロ状になり通気性が阻害され根腐れなどを起こし易くなります。

こうした隙間には細菌、放線菌、その他、さまざまな菌群が共存し、更に団粒化が進みます。団粒化した土壌は、ふかふかで軟らかく、養分供給力も高くなります。

その結果、雨水を蓄え日照りの時は、作物に水を与え、冷夏でも土の中は、温かく酸素を取り込みやすく、そして微生物などが放出する抗生物質、ホルモン、ビタミン類のおかげで病害虫や、天候不順時にも強い健全な作物ができるのです。

肥料と言っても様々な種類があります。化学的に作物に必要な栄養素を作り出した「化成肥料」。牛糞、鶏糞、豚糞、油粕、魚介類などから作られる「有機肥料」、などがあります。

化成肥料には、作物に必要な三大要素をバランスよく配合した複合肥料、その複合肥料にキレート鉄などを入れたプラスα複合肥料、窒素、リン、カリウムなど単品の物、等化成肥料にも様々な種類、配合割合があります。

化成肥料は即効性がありますが、水に溶けやすいので栄養素が流出しやすく、よく土壌の状態を調べた上で、必要な分だけ施用するのは良いが、多用すると濃度障害「窒素過多」、毛細根の発育不良をおこし、徒長した弱い作物になり、病害虫を誘発する原因ともなります。

有機肥料には、一般的に牛糞、豚糞、鶏糞等を発酵させた堆肥と呼ばれるもの、米ぬか、油粕等がありますが、その堆肥の中にも中熟堆肥、完熟堆肥、完熟堆肥を乾燥させた乾燥堆肥などがありますが、ほとんどの物は、微生物が分解して、各種の栄養素を作り出し、バランス良く作物に吸収される働きをします。

即ち即効性はありませんが、微生物によって分解され、作物に必要な分だけ供給されるので濃度障害や生育障害などはおこりにくくなります。

従って、有用微生物によって分解した上質の完熟堆肥(分子構造化)は、臭いもなく土壌に必要な有用微生物も豊富に含まれていますので、作物は健全にバランス良く生育する様になるのです。

結果から言うと、病原菌及び害虫の数が増えるからなのですが、ではなぜ病原菌及び害虫が増えるのか。

化学肥料を多用すると、土壌が痩せて作物の毛細根が発達しなくなり有用微生物が棲み処を奪われ数が減少する事により、生態系のバランスが阻害されるからです。有用微生物が餌としている有機物(未分解物や残渣類)が余ってくるので、それを餌として病原菌の数が増えるのです。

有用微生物、病原菌それぞれ同じように有機物を餌としているが病原菌よりも有用微生物の方が有機物を急速に利用するため、餌のない病原菌は、繁殖できなくなり、休眠状態になり悪さをしなくなります。

したがって、土壌中には有用微生物が多い方が良い訳です。数が増えた病原菌は、害虫などが付けた傷口等から作物体内に侵入し、爆発的に増殖し病害症状が出てきた時には、手遅れで枯死してしまうこともあります。

有用微生物の中には、キチナーゼやラミナリナーゼを生産するものがおり、(セルロース、キチンなどを分解する、菌体外酵素等)昆虫の外殻はキチンで出来ており、キチナーゼはキチンを分解します。

その影響であるかは、研究段階であるが昆虫は、キチナーゼに対して人間が腐った牛乳に持つと同じ反応を持っており忌避効果があり、その結果キチナーゼを生産する有用微生物の数が減少する事により害虫の数が増える事が言えます。

この菌体外酵素は、病原菌の細胞壁も溶かす効果が有り、溶菌して病原菌が減少する効果は実証されています。


【生態活用型、永続型農業にする事です】

一言で言えば、自然の恵みである、有機物・微生物による土づくりです。土壌は栽培のための道具だけでなく、生命力に富む植物にとって、住みやすく育ちやすい土壌にし、植物が健康に育つ環境を作ってあげる事なのです。(土壌生態系を自然な状態に戻すことです)

生態は生態学(エコロジー)の生態で、植物と動物そして土中の微生物や小動物など、あらゆる生物の共存共栄の、バランスで成り立っているのです。従いまして、有機物・微生物など天然素材のみを使い、環境を汚染しないで、直接・間接的に植物や、人間を健康にする事なのです。

作物に必要な元素は16 種類とされています。最も多く必要とされる炭素、水素、酸素は、空気中の炭酸ガスと、根から吸収する水分によってまかなわれます。そのほかの13種類は、土の成分で、窒素、リン酸、カリウムの、「三要素」とも呼ばれ、それを大量に必要とし、互いに協力し合って、効果的に働きます。

窒素(N)

「葉肥え」とも言われ、各種アミノ酸を作り、たんぱく質を合成する。不足すると葉の色は淡く(脱色ぎみ)なり、生育が悪くなります。与えすぎると、葉は緑濃く大きく育つが厚みがなく、病虫害、干ばつ害、冷害を受けやすく、果菜類や根菜類ではツルボケになったり、奇形が多くなったりし、品質が低下する。

リン酸(P)

「実肥え」とも言われ、核酸、リン脂質(細胞膜)の構成成分。初期生育に多量に吸収して花を増やし実のつきを良くし、根を伸ばす働きがある。エネルギー代謝、糖の運搬等にも役立つ。根圏にあるリン酸のみが有効となる。与えすぎると、亜鉛、鉄、マグネシウム等の、欠乏症が起こり易くなります。

カリウム(K)

「根肥え」とも言われ、根や茎を強くし、耐病性を高める。タンパク質、デンプン合成を促進し糖の移動蓄積に役立つ。窒素の効きすぎを抑えたり、実や茎を硬くしたり、イモ類などは品質が向上する。与えすぎると、マグネシウム、カルシウムの吸収を阻害する逆効果になる事もあります。次に中程度必要とされるのが、カルシウム、マグネシウム、硫黄である。

カルシウム

根の先端の発育には、欠かせない。ペクチン酸カルシウムとして細胞壁を強くし耐病性を強化する。与えすぎるとマグネシウム、カリウム、リン酸の吸収を阻害する要因となる。

マグネシウム

葉緑素の主要な構成元素で各種酵素の活性化を助ける働きをする。生育中期から後期にかけて消耗が激しくなる。カリウム、カルシウム、マグネシウム、のバランスが崩れると欠乏しやすくなり、欠乏すると下位葉から欠乏症状が現れる。

硫 黄

タンパク質の構成元素であり、欠かす事はできないが、日本では、欠乏土は、ほとんどない。


そして、鉄、マンガン、亜鉛、銅、ホウ素、モリブデン、塩素が微量要素である。

葉緑素の生成、光合成を助ける、ビタミンCの合成、呼吸作用、窒素の同化に関与するなど多くの酵素に不可欠である。土壌中のマンガンの量は、微生物の活性度によっても増減する。

マンガン

葉緑素の生成、光合成を助ける、ビタミンCの合成、呼吸作用、窒素の同化に関与するなど多くの酵素に不可欠である。土壌中のマンガンの量は、微生物の活性度によっても増減する。与えすぎると鉄の過剰吸収を起こし植物体内でのリン酸の移動を悪くする。

亜 鉛

葉緑素、植物ホルモンの生成に関与する。与えすぎると鉄欠乏症を起こす。

チトクローム、チロシナーゼ、ラッカーゼ、アスコルビン酸酸化酵素などを形成する。与えすぎると鉄、マンガンの吸収移行を阻害する。

モリブデン

窒素の消化吸収(アミノ酸、ビタミンCの合成)を助ける。

ホウ素

花や芽の分化、花粉の発芽と果実の細胞分裂を促進する。糖の転流を高めて成長点の成長を維持する。カルシウムの吸収を高めて細胞壁を強化する。マメ科作物等、特に花数の多い果樹などの高等植物に必要量の多い要素です。土壌内では、無機態として存在するため土壌から流亡しやすく、特に露地栽培では欠乏しやすい要素です。

塩  素

硫黄と同じく日本では、欠乏土は、ほとんどない。

この様に、作物は人間と同じく、敏感で、デリケートな植物なのです。しかしながら、言葉は話せません。ですから栽培者は、作物の言いたい事を感知してあげなくてはならないのです。
一般に、日本では施肥量は多いと言われております。

過剰施肥してしまったら、作物の生育バランスを崩し、耐病性に弱くなったり、奇形の製品が多くなったり、良い事は何もありません。人間でも腹八分といわれていますが、作物も同じで、一度施した物は取り除けません。作物の状況を見ながらの追肥でも補えますから、観察力を高める事をお薦め致します。

微生物にも様々な種類があります。微生物の種類はおよそ細菌1 ,600、菌類(カビ)45,000、原生動物 44,000と言われています。

作物の健全生育にとって一番良い土壌環境は、細菌類内でも放線菌・窒素分解固定菌・ 光合成菌等の数が多く、雑菌類が少ないほど良いのです。

土づくりをしっかり行った残渣物の少ない優良な土壌は、細菌類100に対して、善玉菌種 (放線菌系40~50くらい、窒素分解固定菌系15~20くらい、光合成菌系等10~15く らい)が90%くらいで、雑菌類(カビの一種)10くらいであるのに対し、病害の発生が多い土壌では、雑菌類が多くなり順序が逆になっているのです。
 
この事から細菌類の種類と数が、豊富な土壌に変えてやることが重要な事が伺えます。

【身近な自然界を想定して見ましょう。】

まず、森林などでは、どうして肥料を与えていないのに樹木等は、健全に育 っているのでしょうか。

それは、動食物の死骸、落ち葉、枯れ枝等を微生物が 分解し、その養分を植物に供給しているからです。即ち、微生物が森林を育てていると、言えるのではないのでしょうか。

微生物は、顕微鏡を使わなければ見えないぐらい小さい生き物(トーマス菌群は1? 中20億個くらい)ですが、この小さな生き物が有機物を酵素によって消化、分解し植物が養分を吸収し易くして互いに助け合っているのです。(動植物の共存共栄)

根に歯を持たない作物が栄養分を体内に取り入れる事ができるのも、土壌微生物が土壌中の有機物を酵素によって消化分解(低分子構造化に)してくれるからであります。だからといって、なにもしなければ微生物は増えません。そして大きな仕事をしてくれません。微生物に食べ物と住みやすい環境(繁殖し易い)を与えてやらなければ、微生物は繁殖出来ません。

微生物は昼夜を問わず活動しておりますから、最大限に効果を出せる様にする事なのです。すなわち、微生物の餌となる有機物をバランス良く配合【炭素率を整え】し、団粒構造の土壌づくりをする事により、土壌微生物は有効に働き、良い作物を作り出してくれるのです。

作物の成長は空気中の炭酸ガス、窒素ガスと太陽からのエクエネルギーによる光合成 の働きでイオン化された成長要素(窒素、リン酸、カリ)や、ビタミンや腐植酸等を、根に供給し、根より分泌される糖分、アミノ酸、ビタミン等の栄養分の一部が、微生物 の餌となり、再びアミノ酸、低分子量核酸、有機物、ビタミンやホルモン類等の成長因子を造り、根に供給しております。(生理活性物質と称します。)

また、酸素圧の調整や炭酸ガス濃度の増加等の影響を根に与える働きなどもしています。 従って、減農薬や、施肥の節減にもつながります。

可溶性炭水化物アラビノース、オリゴ糖、キシロース、グルコース、ショ糖、フルクトース、マルトース、ラフィノース、ラムノース

アミノ酸アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、 グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、リジン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、シスチン、チロシン、セリン、 γ-アミノ酪酸、α-アラニン、β-アラニン

有機酸クエン酸、オリゴ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、コハク酸、 フマール酸、グリコール酸、酒石酸、シュウ酸

活性酵素、インベルターゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、ホスファターゼ、ポリガ ラクチュロナーゼ

カテゴリ